電子処方箋管理サービスの運用について
薬機法の改正が成立し(2022年5月20日施行)、「地域における医療及び介護の総合的な確保に促進に関する法律」による電子処方箋の仕組み(以下「電子処方箋管理サービス」という。)が構築され、2023年1月を目処に運用開始する予定であること及び電子処方箋モデル事業を10月31日から実施することになったことを踏まえ、2022年10月28日に厚生労働省医薬・生活衛生局長、医政局長、保検局長から「電子処方箋管理サービスの運用について」が通知されました。
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001006252.pdf
これに伴い、2016年3月31日通知の「電子処方箋の運用ガイドライン」は廃止となりました。本通知は、電子処方箋管理サービス(社会保険支払基金が実施機関となる電子処方箋に係る仕組み)の運用を整理したものです。現在は実施機関については、社会保険支払基金が担っていますが、2023年1月からは国民健康保険中央会が加わる予定です。
皆さんの薬局でもいち早くH P K Iカードの申し込みをし、そしてベンダーさんからの見積書を待っているところかと思いますが、まだ厚生労働省からの電子処方箋のベンダー向け仕様書が出てきておらず、ベンダーさんは1月から対応できるのかどうかヒヤヒヤしているところとのことです。この仕様書が出来上がれば、すぐに見積書を作成して、皆様の薬局にご提示なさるかと思います。電子処方箋の稼働は1月1日からではなく、1月の下旬になる見込みとのことですので、もう少しお待ちください。
それからHPKIカードの発行については補正予算案が閣議決定され、1人当たり最大5500円の補助が出る模様です。
今回は、「電子処方箋管理サービスの運用について」の中から重要と思われる部分を抜粋してご紹介します。
<電子処方箋管理サービスの運用の基本的な考え方>
電子処方箋の運用は、電子処方箋管理サービスを用い、医療機関が電子処方箋を登録し、薬局が取得する方法を用いることとし、基盤となるシステム構成は、拡張性やコスト面を考慮し、クラウドサービスを活用した構成とし、電子処方箋管理サービスで取り扱う処方箋は、医療保険適用の医薬品の院外処方箋とする。
<電子署名の活用>
電子処方箋への電子署名には。タイムスタンプを付与する仕組みである。
薬局では、調剤結果を作成した薬剤師は電子署名を行い、電子処方箋管理サービスに送付する。電子処方箋管理サービスはタイムスタンプを付与した上で調剤結果を薬局に返却する。薬局ではこれを「調剤済みの電子処方箋」として取り扱う。なお、今後、電子処方箋管理サービスにおいて「調剤済み電子処方箋」を管理・保存するサービスも提供する予定としている。
<電子処方箋の運用にあたって>
フリーアクセス確保のため、患者が電子処方箋に対応していない薬局で調剤を受けることを希望する場合や電子処方箋を望まない場合には、紙の処方箋を交付する。
医療機関・薬局のプロセスともに、
処方・調剤情報の参照に関する個人同意は顔認証付きカードリーダーにおいてのみ取得できる運用を基本としており、口頭等で同意取得したからといって参照できることにはならないことに留意する必要がある。なお、当該患者が調剤を受けようとする薬局が電子処方箋に対応しているか否かについては、厚生労働省ホームページにおいて対応薬局リストを公表することとしており、厚生労働省から配布されるポスター等を活用し、待合室等で患者が当該情報を確認できる環境を整えていく必要がある。その際、フリーアクセスの観点から、特定の薬局に誘導してはならない。
処方・調剤情報の参照の同意が得られていない場合は、重複投薬または併用禁忌の有無については、該当する医薬品の重複・禁忌という事象のみを表示するに留め、重複等の対象となった薬剤名称や医療機関・薬局の名称等は表示しない。重複投与は、同一成分同一投与経路に該当するか否かで判断し、併用禁忌は添付文書の相互作用欄で「併用禁忌」と定義されているもののみ該当する。
この処方・調剤情報の参照については、「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」に電子処方箋の情報の流れが規定されており、個人情報保護法の「法令に基づく場合」に該当するものとして、個人データの第三者提供に際して本人の同意を取る必要はない。(根拠法になります)
現在J A C P会員薬局の中にも実証試験に参加している薬局があります。来年4月の第9期C P研究会第1回目で、2薬局に実証試験をやってみての報告をしていただく予定です。より現場に近いお話が聞けるのではないかと楽しみにしております。