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一燈照隅-04

一燈照隅
04
著者
ランタン次郎

● 一燈照隅-04

8月「深化」

2022.08.03

ヤクルトを始めて飲んだのはいつのことだったろうか。あの独特のスタイルと薄いアルミ泊をめくる珍しさは今も記憶に新しい。
先日の新聞報道によると、この代田稔医学博士が強化・培養に成功した乳酸菌シロタ株が入ったヤクルトの今期の利益が、当初の予測をさらに上積みして過去最高益になる見通しとあった。失礼ながらあのようなものが、と思いウィキペディアで調べてみた。

あの独特なプラスチック製の容器になったのは昭和43年からなので、印象に強く残っているヤクルトとの出会いは、子供を卒業したいと思い始めた小生の思春期頃だったような気がする。
さらに資料を読むと、あのくびれて掴みやすいデザインや、あの65mlが子供や老人が一度に飲み切れる量と計算されているなど、至る所に配慮があるらしい。ところがこの形状を1997年に立体商標として特許庁に出願したがスンナリ認められず、最高裁で闘っても勝てなかった。デザインを特許として認めてもらうのは前例がなかったようだ。しかしその後、コカ・コーラの瓶の立体商標が2005年に設立された知的財産高等裁判所によって認められたことで、特許庁の判断が取り消され、ようやくあの形状がコカ・コーラ同様、世界の多くの地域でもすぐに「あのヤクルト」と分かるシルエットが、その品質と共に広く認知されるようになった。

さてヤクルトが好調の理由はストレス緩和と睡眠の質向上を謳う機能性表示食品としてヤクルト「1000」シリーズの販売が国内外で大きく伸びているからだそう。
もちろん為替の影響もあるだろうが、そもそもヤクルトは発売当初から宅配で販売されており、話題の「ヤクルト1000」はその宅配専用商品として定着しており、量販店向けの「ヤクルト1100」の4倍近い180万本の販売を見込む。
小生は以前、早朝に娘に引っ張られてヤクルトレディや元レディが忙しく出掛ける頃合いの販売所に連れて行かれたことがあった。あれこれ聞く娘に、保冷バックにある宅配用商品それぞれの違いを丁寧に説明してくれて、余分に詰め込んであるらしい商品を幾つか売って貰った。その中に「ヤクルト1000」があり、説明が特に熱心だったと記憶している。商売と言えばそれまでだが、ペースを乱す客が来ても嫌な顔ひとつせず、僅かな売上と顧客を大事にするヤクルトレディの姿に、朝の爽やかさが一層増した気がした。

子供向けと思っていたヤクルトが半世紀の間に今や大人が買い求める一大商品に成長し、またヤクルトレディ達は今や郵便局員と共に高齢者の見守り訪問役として活躍している。最近は次なるパンデミックをも迎え撃てそうな、体内の免疫を維持すると謳うプラズマ乳酸菌なる新顔にも期待が高まっている。

薬のお届けも、調剤後のフォローアップもすでに実践中の私達は、リフィルや電子処方箋、ましてや調剤の外注が始まるとしたら、それを超える価値の深化が求められる。