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一燈照隅-13(2023/05/31)

一燈照隅
13
著者
ランタン次郎

● 一燈照隅-13



5月 「原点回帰」

2023.5.31

ようやく日本の防疫鎖国も解け、円安も相まって日本を訪れる外国人が増えてるようだ。それも東京や大阪のような大都市見物だけでなく、地方の名所旧跡だったり、それぞれの地域の特産物や地元料理などを目当てに来日している。
日本食を食べて感想を述べるYouTube動画が大流行りである。

少し昔には秋葉原などに観光バスや黒塗りの大型車が連日乗り付けて、電化製品や医薬品の爆買いが流行っていた。その後、新型コロナの流行もあってか、それまでの客層が戻っていないのかもしれないが、今来日している外国人が日本に求めているものは以前と変わってきた感がある。
海外から見た日本食の代表は何と言ってもスシとラーメン。どちらも海外にお店はあるだろうが、カルフォルニアロールはどう見ても別物に思える。あれはSUSIだ。来日した旅行者が、私達がいつも行ってる回転寿司を食べても異口同音に「オイシイ!」と言ってるのは痛快だ。
 シャリに載せた刺身、すき焼きに絡める生卵、塩振って焼いただけの魚とか、いずれにしても素材を大事に料理する和食の数々、加工せずそのモノ自体の持ち味が喜ばれている。
「和食」が日本の伝統的な社会慣習としてユネスコから無形文化遺産に登録されたことも思い出され、「アメイジング!」と言って食べてくれると、いつも当り前に食べている食事も見直してみたくなる。

振り返ってみれば戦後の日本は経済官僚の活躍もあって鉄鋼業や自動車産業など世界に冠たる工業生産力モデルを築き、次いでエレクトロニクスの分野でもお得意の技術革新をWalkmanなどに体現して世界のリーダーとなっていった。

戦後日本はこれまでの工業生産力モデルとして鉄鋼やエレクトロニクス、自動車を海外に輸出し、近年は技術革新などのイノベーションを成長戦略の中心に捉えてきた。このところIT関連産業は海外勢にお株をとられているが、DXやチャットGTPの分野で再び優位に立てるか大いに気になるところだ。

その一方、人口が減少していく日本の将来を見据えて、社会の基本的な仕組の見直し、原点回帰のための基盤作りが始まっている。自給率が心配な食と農業、国内エネルギーの需給環境、国内外の政策と深く関連する金融、少子多様化の中での教育問題、そして医療の仕組みや健康増進策は私達に直結する問題である。

これまで医薬分業推進の御旗の下、ご飯の上に美味しくなーれとあれこれフリカケを捲き、手間のかかる副菜をあれこれ並べて薬剤師は一生懸命仕事をしてはみたけれど、お値段の割りに味がイマイチ、そんな評価になっている。薬剤師の仕事の原点はどういうことだろう。今こそ真剣に考えないと、これまでのリピーターをこれからも留めておくことはできなくなる。