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一燈照隅-16(2024/08/1)

一燈照隅
16
著者
ランタン次郎

8月 オリンピック

 パリで7月26日から開催されたオリンピックも16日間の熱い闘いが閉幕した。メダルだけではないと思いながらも、小生は連日日本人選手の活躍とメダル獲得の知らせに心踊らせた。振り返ってみると、日本選手団は金メダル20個、銀メダル12個、銅メダル13個獲得し、その総メダル数は自国開催だった先の東京オリンピックの金メダル数27個、総メダル数58個には及ばないまでも、海外開催大会で最多となり、今回もロシアが国として参加を認められなかったとは言え、その金メダル数はアメリカ、中国に次いで3番目に多い国となった。数字ばかりで恐縮だが、開催国フランスの結果は金メダルこそ16個と我が国より少なかったが、銀メダル26個、銅メダル22個と総メダル数は64個となり日本を凌ぎ世界ランクで5位だったことは素晴らしい。
 
 さて夜を徹してその1つひとつの競技を探してチャンネルを回しながらテレビに釘付けになった人は私だけではなかったと思うが、その中でも前評判の高かった競技や選手が早々と姿を消して行ったことはとても残念だった。でも男子体操の最後まで諦めないことの結果や、男女レスリングのメダルラッシュにはかなり痺れた。一方、スケートボードやブレイキンなど新しい競技で若い日本人選手がメダルを取ったり、フェンシングのような歴史のある競技でいつの間にか日本チームが世界ランキング一位になったりとか、個人やチームで日本人選手が活躍するシーンは大いに驚き、そして感動する事が多かった。そのことは睡眠不足をさらに助長した。
 
 ところでその選手達のコメントや解説者の言葉の中に世代交代を思わせるものが幾つか出てきていた。体操やレスリングその他の競技でも、かつての時代の日本人選手の活躍をテレビなどで見たことがきっかけで自分もその競技を目指したというエピソードだ。今多くの種目で日本選手が活躍する背景には、彼ら彼女らの先輩達の姿があったと聞くと何だかとても嬉しい。
 そんな日本のオリンピック話をフィンランドにいる友人に話したところ、北欧の国々はスウェーデンで人口1000万人、ノルワエーやフィンランドでは550万人と絶対数の違いもあり、また強化予算も多くない事情から、夏のオリンピックでのメダル数は少ないと話してくれた。
 やはり国々の人口規模は経済の力だけでなく、その国の文化の醸成にも大きな影響を与えることは確実のようだ。勿論、国民人口が多ければ良いと言うものではない。アメリカや中国、ロシアなど億を超える人口を抱える国々も、そのリーダーの選択の結果次第では他国にも大きな影響を及ぼす事は友人の言葉を待つまでもなく大いに納得する。
   
 日本は今、急速に人口減少の道程の中にいる。経済もこれまで良き時代から縮小均衡の世界に入っている。どんぶり勘定なる言葉は死語になっている。ネットの普及で情報は吟味もほどほどに瞬時に伝わる。そのたびに経済も一喜一憂する現在、国がちぐはぐに進めるDX化の将来は必ずしも便利で安心な社会とは言い切れない不安もある。
 現在の多方面に渡る世界でたくさんの日本人が活躍する姿も、人口が8,000万人と推計される半世紀後にはどうなっているだろう。人々がじっくり確かめて選択できる社会で、納得した人生を送れたら嬉しい。私たちも他人任せ、国任せではなく、自分自身も今何か行動しないと時代にそっぽを向かれれる。オリンピック選手の熱い活躍を見せつけられたあとにそんな気分になった。次回ロサンゼルスオリンピックはどんな気持ちで観ているだろう。
 
パリオリンピック https://olympics.com/ja/paris-2024/the-games/olympic-paralympic-games/olympic-games
ノルウェーの教育 https://globe.asahi.com/article/15295550
人口減少の日本  https://www.jice.or.jp/knowledge/japan/commentary05