● 医薬品情報室-93
注射針を使わないアドレナリン製剤(ネフィー点鼻液)
2026.8.1
2026年2月、国内初となる経鼻アドレナリン製剤、ネフィー点鼻液(一般名:アドレナリン)が発売されました。エピペン注射液(一般名:アドレナリン)に続く、2剤目のアナフィラキシー補助治療薬です。
アナフィラキシーガイドライン2025では、アドレナリンを「疑い段階」から大腿前外側部へ筋肉内投与することを第一原則としています。2003年、オートインジェクターにより筋肉内に自己注射が可能なエピペンが発売。太ももの外側に、垂直に針を刺すので、「注射が怖い」などの心理的な抵抗もありました。ネフィー点鼻液は、鼻孔にワンプッシュするスプレータイプ。針を使わないので、学校等での使用ハードルが下がると期待されています。血中濃度の立ち上がりは、エピペンよりやや遅れるものの、その後の薬物動態や薬力学的反応はほぼ同等です。鼻腔は、巻紙状にせり出した3層の鼻甲介(びこうかい)が、空気の通る鼻道を形成し、天井部分には匂いを感じる嗅上皮があります。鼻粘膜は血流が豊富で、バリアが薄いため吸収が速く、初回通過効果を受けません。最近、スピジア点鼻液(一般名:ジアゼパム)など、鼻粘膜を介した新薬が続々と登場。背景には、米ネユアリズ社の吸収促進技術『イントラベイル』などの技術革新があります。非イオン性界面活性剤のドデシルマルトシドを添加して、粘膜での薬物透過性を高めました。吸収部位の研究も進み、アレルギー性鼻炎薬は外鼻孔、ワクチン類は鼻咽頭、中枢神経系疾患の治療薬は臭細胞付近が効果的なことが判明。上鼻道や中鼻道などの目的領域に薬剤を到達させる専用器具(デバイス)も開発されました。ネフィーは、❶ノズルの先端1cm位を鼻孔内にまっすぐ挿入し、鼻孔の内側(鼻中隔)や外側に向かないようにする。➋単回のスプレーなので、試し噴霧はしない。❸鼻閉や鼻汁は問題ないが、鼻粘膜以外からの吸収を防ぐため、投与後は鼻をすすらない。❹効果不十分な場合、10分以降に再投与可能だが、同一鼻孔に投与する方が効果は高いなどがあります。ネフィーは、「補助治療剤」であり、エピペン同様、使用後は必ず医療機関を受診します。


