空白の10年間
2026/10/15
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JACPの活動の基軸としてThink Globally Act Locallyがあります。Think Globallyの一つとしてドイツだけでなくカナダに学ぶがあります。
10年前の2016年9月に、アルバータ州立大学医学部教授、Epidemiology Coordinating and Research (EPICORE) Centreの所長でもあるRoss Tsuyuki教授にお話を聞きました。EPICORE Centreは薬剤師による臨床試験を実施している機関ですが、薬剤師がケアに介入することで患者のアウトカムが上がることを実証しています。その時にアルバータ州では薬剤師に処方権があり、臨床検査のオーダーができ、ワクチン接種もできるという話を聞き、衝撃を受けました。あまりに強い衝撃で日本がそこまで行くのは程遠いという思いがありました。2016年11月にはアルバータ州立大学の薬学部の先生であるTerri Schindel(当時准教授)氏とChrisutine Hughes(当時副学長)氏からカナダにおける薬剤師の役割と薬学教育の変化や薬学実務実習の話を聞きました。2007年から薬剤師の処方が始まり、2010年から臨床検査のオーダーができ、2012年からワクチン接種ができるようになった。それも大学の教育があったからと言う話を聞きました。大学教育と臨床試験を計画してアウトカムを出すという機関があったからこその薬剤師業務の拡大だと思います。しかしながらその当時、あまりにもカナダの薬剤師は先を行っているので、日本の現実を思うと、私が生きている間には無理と言う思いが強かったです。
それから10年後の2026年、アルバータ州立大学に行って臨床教育を行う場所を見せてもらい、Tsuyuki教授のいるEPICORE Centreに行き、Tsuyuki教授らが行なっている臨床研究の説明を受けました。オース

私の空白の10年間をつないでくれている先生が、アポビッテかわら版の執筆者である京都大学の岡田浩先生です。アポビッテかわら版で岡田先生の執筆が始まったのは2018年4月号からです。先生は2016年にEPICORE Centreに博士研究員として留学されています。201
岡田先生はコロナ禍前に京大に戻られています。そして2022年4月号第16回目にカナダで行われている薬剤師による薬剤処方のことが書いてあり、その中にも大学の教育が臨床を重視したものに変わり、薬剤師会も研修プログラムを提供していると書いてありました。そして昨年2025年に岡田先生も6年ぶりにカナダを訪問し、2022年から始まった薬剤師クリニック(Phamacy Care Clinic)を訪問しています。そこで疑問を投げかけています。診断学などのトレーニングを受けていない薬剤師がどうやって処方薬を決めているのか。その答えは疾患ガイドラインなどが整備されておりそれに基づいて判断するフローチャートがありアルゴリズムに沿った項目をチェックしていくことで、処方薬の選択につなげるようになる。そのような仕組みも重要だと感じたと書いてありました。
私も今回アルバータ州立大学を訪ねて、大学での教育、薬剤師が処方薬を決定するのに役立つツールなどの重要性を実感しました。まだ日本において薬剤師の処方権などの話は早いですが、日本でもOTC類似薬に関して一部保険外療養制度が始まります。日本の薬剤師も薬剤師が作成した軽医療(例えばかぜ、花粉症)のガイドラインやフローチャートがあると役に立つのではないでしょうか。日本の薬学部の先生方に頑張ってほしいと思っています。やはり物事をなすには準備が必要です。
私にとっては空白の10年間と思いましたが、それを岡田先生がつないでくれていました。岡田先生の日本におけるアウトカムを出す研究にも期待しています。