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CP羅針盤-65(2026/11/5)

CP羅針盤
65
著者
吉岡ゆうこ

ドイツの薬局がなぜ処方箋調剤とOTC医薬品相談販売の両立を果たしているのか。
2026/11/5

2026年11月21日(日)にアッセンハイマー氏の第12期C P研究会第5回が開催されます。「ドイツかかりつけ薬局の危機と未来」とタイトルだけ見ると日本の薬局には関係ない話と思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかしそうではありません。来年の3月1日からのいわゆるOTC類似薬の保険はずし、一部保険外療養制度のことにも関係します。ドイツの薬局は日本の薬局の未来の姿です。未来の姿を想像して準備してもらいたいと思っています。

11月21日(土)開催「第12期CP研究会 第5回」
■ 日時:2026年11月21日(土)19:00〜21:00
■ 講師:アッセンハイマー慶子 氏(ドイツ・セントラルアポテーケ開設者)
▼ お申し込み・案内の詳細はこちら
詳しい案内はこちら:https://x.gd/fHecN

私が初めてドイツの薬局に視察に行ったのは2003年のことです。私の会社ネオフィスト研究所では「知識」「技術」「態度」の涵養を行っていきたいと考えていました。日本の分業率はまだ約50%の頃です。「態度」の涵養は私が教えることはできず、薬局のお手本となる国がないかと探していました。アメリカではないだろうと思い、イギリスとドイツの薬局を見にいきました。そこで、イギリスでなく(イギリスはチェーン薬局が半分くらいでした)、ドイツの薬局に惹かれました。ドイツは1薬剤師1薬局しか開局できず、どの薬局も処方箋調剤とOTC販売を行っていました。そして2004年から薬剤師を募り、コロナ禍の時以外、ドイツ薬学視察視察旅行を敢行しています。しかしながらこの22年間のドイツの薬局は、2004年の医療大改革後の姿だったのです。2004年前のことを知りませんでした。そのことを今回学び直しましたのでご紹介いたします。

ドイツでは1989年医療保険改革法が施行されました(東西ドイツ統一前)。ビスマルクが1883年に疾病保険法(公的医療保険制度)を創設して以来、「100年来の構造改革」と位置づけられた歴史的な大改革でした。
ポイントは
・公的医療保険のカバーすべき範囲の見直し
・自己責任の強化 などでした。
薬局に関わるもの
・参照価格制の導入
・風邪薬、鎮咳薬、下剤、抗ヒスタミン薬など、主として軽医療に用いられるOTC医薬品に類似した医薬品について、原則として公的医療保険の給付対象から除外

すでに38年前にドイツでは日本のOTC類似医薬品の保険外しが行われたのです。しかしながら医師は診断を行い、OTC医薬品を処方箋に書くことができました。そして薬局は、処方箋に書かれたOTC医薬品をメーカー希望小売価格で保険請求ができました。私はすぐの保険外しではなく緩和策をとったのではと思っています。これが変更になったのが、2004年の医療保険近代化法です(東西ドイツ統一後)。要処方箋薬以外の医薬品(OTC医薬品)は原則として保険給付から除外されました。1989年から2004年までの約15年間、患者は医師にかかり、OTC医薬品を処方して貰えば保険がきいたのですが、2004年から医師はOTC医薬品を処方箋に書くことはできますが、患者は全額自費となりました。私たちは2004年から薬学視察旅行に行っていますので、アッセンハイマー氏から、OTC医薬品が保険償還できなくなったという話は聞いていました。
2004年の医療大改革後の患者の動向ですが、OTC医薬品も保険が払ってくれるから病院へ行っていたのに、病院で待って処方箋をもらっても自費になるのなら、はじめから薬局へ行った方がよいということで、薬局へ相談しに行くように変わっていった。
薬局はOTC医薬品の相談販売が増え、薬局もそれなりの品揃えと相談能力が問われるようになった。患者さんの症状に合わせて、適切な医薬品を選び、価格も考慮しなければならなくなった。値段を気にする顧客のためにジェネリックOTC医薬品も置くようになった。医師の受診を勧めるタイミングも的確であることが要求された。それとともに売り場面積を広げるために機械化も進んだ。(ピッキングマシーンやデジタルウオールなどの導入)。今までは必要なものを必要な数だけ卸に注文していたが、大量に発注すると値引き率が高くなるためOTC医薬品のメーカーに直接注文することが増えた(半年前には、冬の風邪に関するOTC医薬品を大量に注文する)。
OTC医薬品メーカーは、売り上げが落ちないよう、薬局の差別化情報や薬局内での製品セミナーをしてくれるようになった。製品セミナ―はMRさんが薬局に来てくれ、無料で15分から30分くらい、PTA(テクニシャン)でも対応できるようにわかりやすい解説が行われ 病理、製品の用法・用量、禁忌、相互作用などで気をつけること、製品の進め方などいろいろアドバイスしてくれる。薬局が道ゆく人用に宣伝する(薬局のガラス面で宣伝する)デコレーショングッズを送ってくれるようになった。などの変化がありました。これらはアッセンハイマー氏からの聞きとり事項です。ドイツ薬学視察旅行ではOTC医薬品メーカーからのセミナーも受けたことがあります。
そして今ではアッセンハマー氏の薬局では、OTC医薬品が書かれた処方箋を持ってくる人は1日2、3人くらい。ほとんどの人は直接薬局に相談しに来る。ドイツ薬学視察旅行で見るドイツの薬局は、ひっきりなしに患者が相談に来ている姿です。
私がドイツで最初に見た処方箋調剤とO T C医薬品販売の両立はこのような背景があってのことでした。

ドイツではさらに今年7月薬局改革法が施行されました。さらに変化するドイツの薬局の姿を見て、日本の薬局の未来の姿と思い準備をしていきましょう。