● 医薬品情報室-92
片頭痛予防に2剤目のゲパント系薬(経口CGRP受容体拮抗薬)
2026.7.1
2026年2月、片頭痛予防薬のアクイプタ錠(一般名:アトゲパント水和物)が承認されました。ナルティークOD錠(一般名:リメゲパント硫酸塩水和物)に続く、2剤目のゲパント系薬(経口CGRP受容体拮抗薬)です。
片頭痛の急性期治療(発作時)は、重症度に応じて、①アセトアミノフェンか非ステロイド性抗炎症薬、②トリプタン、③ジタン系のレイボー錠(一般名:ラスミジタンコハク酸塩)かゲパント系のナルティークOD錠が使われます。急性期治療で不十分な場合には、予防療法(発症抑制)として、バルプロ酸ナトリウム(抗てんかん薬)、プロプラノロール塩酸塩(β遮断薬)、アミトリプチリン塩酸塩(三環系抗うつ薬)、CGRP関連抗体(抗CGRP抗体、抗CGRP受容体抗体)、ゲパント系薬(経口CGRP受容体拮抗薬)などが使われます。
トリプタンの登場により、片頭痛治療は飛躍的に進歩しました。一方で、服用タイミングやノンレスポンダーの存在、血管収縮作用のため脳・心血管障害患者には禁忌、薬剤の使用過多による薬物乱用頭痛(MOH:メディケイション—オーバーユース・ヘッドエイク)の誘発リスクなどがあります。レイボーは、血管収縮作用はありませんが、眠気やめまい等の副作用で車の運転制限があります。カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP:カルシトニン・ジーン—リレイティド・ペプチド)は、発作時に過剰放出される神経伝達物質で、血管拡張や神経原性炎症、疼痛伝達などに関与しています。CGRPや受容体を標的にした抗CGRP抗体(エムガルティとアジョビ)、抗CGRP受容体抗体(アイモビーグ)が開発されました。抗体製剤は月1(または3ヶ月に1回)の皮下注です。さらに、低分子化合物の経口ゲパント系薬が登場。ナルティークは急性期と予防の両方に適応があります。アクイプタは予防のみで、ナルティークが使えない末期腎不全に減量(10mg)し投与可能です。2026年4月、米国食品医薬品局(FDA)は、CGRP製剤(抗体・ゲパント)の添付文書に「高血圧リスク」を追記。CGRPは強力な血管拡張因子なので、CGRP阻害薬により高血圧が発現する可能性があります。特に、投与開始後30日以内の血圧モニタリングが重要となります。


