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一燈照隅-11

一燈照隅
11
著者
ランタン次郎

● 一燈照隅-11



3月「リスペクト」

2023.3.31

今年のWBCは全ての日本人が大谷選手をはじめ栗山監督と侍ジャパン全選手たちを誇らしく思うゲームばかりだった。

日本でも一次ラウンドで侍ジャパンは大量点数を取りアメリカでの準決勝、決勝ラウンドに進出を果たした。とにかく侍ジャパンはオールスターだ。よくこれだけのギフトを持った選手が集まったものだ。全てが痺れる試合。そして最後は驚きあり、感涙ありの感動的な世界一の奪還。日本お得意のアニメだってこんなストーリーは描けない。

嬉しいのは野球に限らず、このところ様々なスポーツにおいて海外を相手にする日本人の活躍が著しい。もちろん選手それぞれのスキルあっての結果だが、その理由の大きな背景の一つは競技人口の多さだろう。ということは国民の人口だ。
 
今、日本では日本の人口減に対する体制作りに拍車がかかっている。2008年(平成20年)に日本の人口のピークを迎えた後は減少に転じ、2040年には高齢者人口もピークを迎える。
高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)が策定された1989年(平成元年)と半世紀後の2040年を推測含めて比較すると、高齢者率は12.1%→35.3%、平均世帯人員は2.9人→2.08人、そして未婚率は男性19.1%女性7.5%が→39.4%、24.9%と推計されている。おまけに最近の離婚率は三組に一組だそうだ。その結果かどうかは分からないが昨年の出生数は77万人、確実に人口減が深刻化している。将来、心身共に優れた日本人が世界にどれだけ出ていけるだろうか。

ということで、いよいよ日本は人口オーナス期に深く入っていく。若者の比率が低く、高齢者の比率が非常に高い人口構造の状態を指すこの状態は、少子高齢化というフワッとした課題をぐっと身近な問題として意識させる。

最近の報道ではコロナ後を見据え2024年春の主要企業の大卒採用計画も21%増だそうでこれはこれで明るいニュースだ。しかしこれまでの日本は労働力がしっかり確保されそれを生かすルールも仕組もちゃんと出来ていた。だから早くて安くて良質なサービスを創ることができた。
しかし今、現場ではすでに深刻な労働力の不足が始まっている。思い切って給料を上げたとしても思惑通りいくかどうか不透明である。4月にできる「子ども家庭庁」が頑張ってくれても、当面の課題解決には間に合わない。支える世代が少なくともこれから20年は痩せていくことを覚悟しないといけない。限りある社会保障費をどう使って高齢者を支えるか、狭い職業観で議論せず、タスク・シェアリングやタスク・シフティングにDXをどう活かして望ましい結果を出すか、子育てを女性、男性共に考えながら、また同時に社会への関わり、役割分担の最適化が急がれる。経営者もそこをしっかり見据えた行動をすべきだ。

栗山監督はいつも選手の将来のことを考えながら若いプロ選手を育てたという。その結果が二刀流では成功しないと言われた大谷選手の今であり、不調であってもクリーンアップを信じて託し続けた村上選手の準決勝、決勝の活躍である。これから先も世界に尊敬され活躍する日本人の活躍を見たい。薬剤師もだ。

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sokai/pdf/014_04_00.pdf